Team Eurasia-iRC TIRE

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クランクの長さ 検証

以下はそれまで思っていた事を実際に2017年に数値化し検証した内容です。2020年4月現在でもこの理論、考え方に変わりはありません。が経験と直感を頼りに検証したものですので、生理学的、ペダリング解析的にご意見のある方は色々と教えてください!
teameurasia2009@gmail.com

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筋肉の収縮によって力を発揮する際に「もっとも効率的にパワーを発揮できる関節の角度」が存在している。
例えば懸垂で腕が伸び切ってしまった状態から10㎝引き上げるのと、肘が90度で曲がった状態から10㎝引き上げるのでは90度で肘が曲がった状態からの方がやり易い。
また、腕立て伏せでお腹が床に付いた状態から10㎝持ち上げるのと、肘が90度曲がった状態から10㎝持ち上げるのでは曲がった状態からの方がやり易い。
つまり、大きく伸びていても、大きく縮んでいても力を発揮するのは容易ではない。

Team Sky及びイギリスのナショナルチーム ヘッド フィジオテラピストのPhil Burt氏は膝が伸び切った際の角度として140度~145度を提唱しており、膝が深く曲がった時の角度は65度と仮定する。

有効なペダリングを行うために膝の角度を一定(収縮時65度 b 及びB   伸展時145度 a 及びA)に保った場合、脚の長さが10cm違う場合の選手はクランクの長さにどれだけの違いが出るのかを計算してみた。

Rider1 は脚の長さ70cm (a 及びbが直線に伸びた時)

Rider2 は脚の長さ80cm (A及びBが直線に伸びた時)

Rider3 は脚の長さ90cm (イラストには載っていません 縮図を出すのが面倒でした…)

 

 

       Rider1            Rider2 

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3人とも膝が伸展した時の角度は145度(A 及びa)。膝が深く曲がった時の角度は65度(B 及び b)とする。

 

Rider1がそれぞれの角度で膝を伸縮させた時の上死点と下死点のストローク量は29.16cm

Rider2がそれぞれの角度で膝を伸縮させた時の上死点と下死点のストローク量は33.3cm

Rider3がそれぞれの角度で膝を伸縮させた時の上死点と下死点のストローク量は37.46cm

このストローク量をクランクの軌跡の上下死点とした場合、クランク長を求めるには2で割る。

Rider1  29.16÷2= 14.58cm

Rider2  33.3÷2= 16.66cm
Rider3  37.46÷2=18.73cm

 

Rider1のクランク長が14.58cmでRider2は16.66cm となる。クランクの長さがとても短いが、それは足首の動きがここには含まれていないのと膝が曲がった時の角度が若干浅いのが影響しているのだと思う。

 
Rider1とRider2の脚の長さが10cm違う選手の場合、クランク長の違いは2.08cmとなった。
Rider1とRider3の脚の長さが20cm違う選手の場合、クランク長の違いは4.15cmとなる。

つまり、Rider2が170mmのクランクを使うのであれば、Rider1は150mmのクランクを使う事で同じ膝角度でペダリングを行うことができる。 Rider3の場合190mmのクランクを使用する事で同様の膝角度によるペダリングを行うことが出来る。

何がベストか?と言う結論は出せないが、欧州選手が股下90㎝で175-180㎜のクランクを使用しているとすると、股下80㎝の選手は155-160mmが計算上のクランク長となる。

多くの身長170㎝前後以下の日本人選手や女子選手は、欧州プロ選手の膝角度から見たクランク長のセッティングを見ると長過ぎる事がわかると思います。
もし機会があれば、公式レースが開催されていない…しかし、シーズン中のパフォーマンスを発揮している今が短いクランクを試すには絶好のチャンスかも知れません。
短いクランクは膝、股関節等への負担も軽減されますので短くする分には故障のリスクも少ないと思います。
是非お試しください!

 

サドル高の変更について
下死点でサドル高を合わせる場合…クランクを5㎜短くするのであれば5㎜サドルを高くしてください。これにより、上死点を過ぎて踏み込む際にサドル高10㎜分高くした膝、股関節角度から踏み込めることになります(より開いた状態から踏み込めることで効率性が良くなる)。

因みにユーラシアの花田聖誠はOnebyESUの「Jクランク」160-165㎜のクランクを使っています。

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