Team Eurasia-iRC TIRE

🚴‍♀️ロードレースチーム Team Eurasia-IRC tire 日本と欧州で活動中!

年間計画の立て方について

皆さんシーズンオフと聞いて何を想像しますか?

「お休み」と考える選手が多いかもしれませんが、昨今は冬の間もトレーニングを継続(CXやトラックなどの競技参戦含む)させる選手も多く、「シーズンオフ」と言う考え方も変わってきています。

2~30年前であれば多くのプロ選手はクラシック~グランツールまで一人の選手が少なくて50、多い場合は100レースに参戦していました。今 記事を書いている僕=橋川も欧州で走っていた頃は少ないシーズンで50、多いシーズンで74レースに参戦していました。基本的にレースに参戦する事は「好きではない」ので、可能な限り「出ない」方向でしたが、それでもこの数字です。

プロのレースですので一つのレースが170㎞~200㎞が中心で、普通に日々過ごしていれば自然と月3000㎞は超え、年間では30000㎞前後を走っていました。

当時、多くのプロ選手は「シーズンオフ=休養」で僕も2~4週間の完全休養を入れて、そこから身体を動かし始め、12月の中頃から700k/週のトレーニングを開始し、年明けには1000k/週まで距離を伸ばしていました。

しかし、今、シーズンを常に全開で走り続けるプログラムを取っている選手は殆どいないと思いますし、シーズン中でも小さな休養を入れながら、パフォーマンスを維持し、冬の間も小さな休養を入れたのちに、バイクを使ったトレーニングをスタートさせる事が欧州でのスタンダードになっており、「シーズンオフ=レースが行われない間の強化期間」的な感じになっているように思います。

特に今年はコロナ禍においてレースを走れる機会も少なく、身体的な負担が少なかった事を思えば「冬の間もトレーニングを継続」させる事が良いと思います。

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年間トレーニングプログラムの作り方について

先ず最初に考えなくてはならないのは目標の設定(パフォーマンス及び時期)
ここに向けて「休養=RC」「移行期(準備期間)=TP」「乗り込み(ベース)=GP」「専門的強度=SP」「プレコンペティション(コンディショニング)=PC」「レース=CO」の6ステップでレースが目標の時期に到達するように、現在のポジション(パフォーマンス及び時期)から逆算して計画を立てます。
 
当たり前のことですが、目標となるレースを設定し、その時期にピーク(目標に到達)に持っていくには、長くならなくてはならない時期は長く乗る必要があるし、強度を上げなくてはいけないときは強度を上げる必要があります。
トレーニングは自分がやりたい事(内容)を行うのではなく、必要とされるトレーニング(強度+時間)を必要な時期に、行う必要があります。
 
今の時期であれば移行期~乗り込みになりますが、それでも高強度のトレーニングも必要とされます。しかしその場合は常にロードバイクでオンロードである必要は無いと考えています。
欧州の選手で言えばシクロクロスやトラックに競技として参加したり、ランニングや水泳を取り組む事で強度は維持する事は可能です。
カテゴリーや年齢によってボリュームは変わってきます。
例えば12月の1週目はボリューム3で、インテンシティが2になっていますが、U23 4年目の選手の12月の1週目は700㎞/週が提案されています。
シーズン中はボリュームが4でもインテンシティが4や3である事を思えば、強度は低めですが、同時に「トランジットフェース=準備期間」とあるように、コアトレーニングや水泳、ランニング等のクロストレーニングを同時に行っている事を想定しています。
水泳やランニングも専門のコーチや競技経験者にフォームを見てもらったり、一緒にトレーニングする事でより安定した荷重移動の方法や、体幹の保ち方など、自転車に応用できるスキルを身に着けることが出来ます。
それぞれの皆さんの環境によってトレーニングの内容や時間が異なる事は理解していますが、どれだけ達成できるか?それを何処で取り返すのか?は考える必要があると思います。
自転車以外のトレーニングにおいては特に「トレーニングする」事を目的にトレーニングを行うのではなく、「骨盤の稼働とハムストリングを連動させる」とか「クロールのストローク時に荷重移動(伸びていく感じ)を意識する」など、常に課題と目的を持ってトレーニングに取り組んでください。

基本的に有酸素系の運動に関して言えば「より高い強度」で「長い時間走り続ける」事が選手を強くすると考えています。その為に運動理論や科学的な根拠が必要なのであって、プロレベルの選手を目指す場合は、「少ないトレーニングで効率よくトレーニングを行い強くなろう…」という考えは持つべきではありません。

 それよりも「効率よくトレーニングの計画を組み事でより高い強度、よりたくさんトレーニングしよう」に切り替えて下さい。

 

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